1450200 ランダム
 HOME | DIARY | PROFILE 【フォローする】 【ログイン】

白鵬翔 07年NEWS40

 スポーツ報知 5月 13日目
<抜粋> 
昇進が確実となった白鵬が、早くも横綱土俵入りの準備に入ったことが25日、分かった。初の土俵入りとなる明治神宮奉納土俵入りで、現在の宮城野部屋を創設した横綱・吉葉山の化粧まわしを使用することが判明した。当初は後援者から贈られる三つぞろいの化粧まわしを使う予定だったが、完成が間に合わなかった。そこで両国国技館内の相撲博物館に保管してあった吉葉山の物を借りることになった。白鵬の育ての親・熊ケ谷親方(元幕内・竹葉山)は「部屋を興した人だしそれが一番いい」と話した。吉葉山は、1938年に高島部屋から初土俵。54年3月場所で横綱昇進。現役時代から吉葉山道場を開き、58年1月場所の引退後に宮城野部屋を再興し、それが現在に至っている。土俵入りの型について白鵬は、雲竜型も視野に入れている。立浪一門の横綱は不知火型が通例だが、「不知火型は短命」の説もあり、白鵬が難色を示しているようだ。  



 読売 5月 14日目
<抜粋> 
大相撲夏場所14日目(26日・両国国技館)――土俵を下り、白鵬が何度も息を吐いた。綱がスルリと逃げた昨年名古屋場所から遠回りを強いられた1年間の思いが、凝縮されたようだった。「色んな経験をして強くなった」。今なら自信を持って言える強さが、無傷の独走Vを生んだ。優勝決定の一番は、体が柔らかい白鵬の受けの強さを存分に発揮。千代大海の激しい押しをこらえてもろ差し。派手な勝利を狙ったつり落としはすっぽ抜けたが、再び大関の体を抱え、即座に前に出た。「一瞬ヒヤッとした」と苦笑いしたのはご愛嬌だが、終わってみれば完勝だった。昨年名古屋場所、13勝を挙げたものの、前半に星を落として朝青龍の14日目での独走優勝を許した。それがネックとなり、横綱昇進の声はかからなかった。今回、同じてつを踏まないための条件は「取りこぼしをしないこと」。「先場所の経験が大きかった。初日に負け、一つも落とせないプレッシャーの中で優勝できたから、今がある」と言い切る。だから今場所は何が何でも白星を重ねることにこだわった。2月に結婚。場所前には子供も生まれた。「家族の存在が大きかった」と白鵬は明かす。環境が変わり、妻と娘を得た新たな生活は、再出発のための大きな発奮材料となったはずだ。横綱昇進はもう間違いない。だが、どうせなら、朝青龍を破り、格好良く全勝で決めて欲しい。今場所の白鵬は、それができる男だ。(上村邦之)  



 時事 5月 14日目
<抜粋> 
26日、大相撲夏場所で2場所連続優勝を決めた大関白鵬の横綱昇進が確実になった。日本相撲協会の北の湖理事長(元横綱)は明言こそ避けたが、「14連勝で決めた優勝は評価できる。一つのまとまりは出てくるだろう」として、昇進に向かうとの見方を示した。横綱審議委員会(横審)の内規では、大関で2場所連続優勝した力士を横綱に推薦することを原則としており、連覇した大関が諮問・推薦されなかった例はない。朝青龍の1人横綱が21場所続いていることからも、白鵬の昇進は確実な情勢だ。横審の海老沢勝二委員長はこの日、「理事長から諮問があると思う。答申は、内規に従って、『結構です』ということになるだろう」と述べた。千秋楽の27日に相撲協会審判部が理事長に理事会の開催を要請、これを受けて28日の横審に昇進を諮問。推薦されれば30日の番付編成会議と理事会を経て「横綱白鵬」が正式に決まる。 (了)  



 時事 5月 14日
<抜粋> 
◇攻める力がついた
北の湖理事長(元横綱) 白鵬は、きょうも腰が下りており、前に攻めようという気持ちがよかった。朝青龍が一つの壁だったが、攻める力が付いたように感じる。
◇よくやった
入門当時から白鵬を指導する熊ケ谷親方(元幕内竹葉山) 本当によくやった。大きな重圧の中で、自分の相撲を貫いた。ここで終わらず、全勝で今場所を締めてほしい。
◇すべて終わってから
放駒審判部長(元大関魁傑) まだ何も話すことはない。理事長が場所前から言ってる「13勝以上で内容のいい相撲」というのは、まあクリアしたのかなと思う。あとは審判部の皆がどう思うか。すべてあす終わってから話す。(了)  



 時事 5月 14日目
<抜粋> 
決めたい、勝ちたい、横綱になりたい-。白鵬の胸の奥にあった思いが、無謀な技になってほとばしった。千代大海ののど輪で俵に詰まったが、外してもろ差しになると、土俵中央で強引なつり落とし。「あれで決めようと思った。残されてヒヤッとしたけど」慌てずに寄り切った。涙はない。「隠れて泣く」と笑ったが、横綱昇進を確実にした心境を聞かれて「言葉にならないですね」。22歳はモンゴル相撲の大横綱だった父と同じ昇進年齢。勝って「それも考えた」。昨年名古屋、秋場所で綱とりに失敗し、九州場所は左足の骨折で全休した。「勉強して強くなりました」と振り返る。2月初め。けいこ場で「3月、5月で(上に)行きたいね」と言った。初場所のかど番を乗り越えたばかり。相撲の自信は戻っていなかったが、紗代子夫人の入籍を目前にして、自分を鼓舞するように口にした目標。右四つの「型」は未完成だが、恵まれた体と、後手に回っても慌てない精神力で達成してみせた。モンゴルへ帰国すると、大草原に癒やされるという。「僕の活力の源なんだ」。15歳で母国を出た時はやせっぽちで、ほかの部屋から声が掛からなかった少年が、見違えるように成長した。場所前には女児を授かり、新たな活力の源を得て、今、最高位に立つ。(了)  



 毎日 5月 14日目
<抜粋> 
三千里を飛ぶという鵬(おおとり)。中国の故事に由来するしこ名の字のごとく、大関・白鵬(22)が大きな飛躍を遂げた。26日、東京・両国国技館で行われた大相撲夏場所14日目で、モンゴル出身の白鵬が2場所連続優勝を決め、横綱昇進が確実となった。春場所後に結婚を発表し、今場所初日の3日前に長女が誕生。土俵を降りると「家族が増えて、自分が強くなれた」と胸中を明かし、笑顔を見せた。昨年7月の名古屋場所で見送られ、続く秋場所で逃した綱取り。「何かしなければ」と気持ちばかりが先走った。3度目の挑戦となった今場所は自然体を貫き、表情にゆとりすら漂う。けいこ場や支度部屋で横綱昇進の話題に及んでも、マユ一つ動かさない。「やるべきことはやった。一番ずつ集中するだけ」と動じない。揺れない心。その支えとなるのが「いいパワーをもらっている」と語る家族の存在だ。入門以来の白鵬を指導してきた熊ケ谷親方は「家族ができ、責任感が出てきた」と目を細める。2月に妻・紗代子さん(23)と結婚。今月10日には長女・ユンレンツォー愛美羽(あみう)ちゃんが生まれた。子どもの話題に及ぶと「かわいいね」を連発し、表情も自然と和らぐ。独身時代は酒をあおって気分を晴らすことも多かったが、今は外出もしない。家族と過ごす時間ができ、必要以上に思い悩まなくなった。優勝後、白鵬が戻った東京都墨田区の宮城野部屋。近所には「白鵬関 祝優勝おめでとう」の垂れ幕も。白鵬はまず熊ケ谷親方とがっちり握手し、コップ1杯のビールをぐっと飲み干すと「おいしいね」。満面の笑みで、祝いのタイを高々と掲げた。千秋楽は国技館で父母が息子の晴れ姿を見届ける。父はいまの白鵬と同じ22歳でモンゴル相撲の横綱となった、メキシコ五輪レスリング銀メダリストの国民的英雄・ムンフバトさん(65)。親子が日本とモンゴルの“横綱”として顔を合わせる。  



 スポニチ 5月 14日目
<抜粋> 
大相撲夏場所14日目の26日、連覇で横綱を手中にした大関白鵬は、東京都墨田区の宮城野部屋に戻り、親方や後援会関係者と祝杯を挙げた。師匠の宮城野親方(元十両金親)と入門時から指導する熊ケ谷親方(元幕内竹葉山)にはさまれ、白鵬は上気した顔でコップのビールを一気に飲み干した。しばらくして横綱昇進が確実になったというニュースを聞かされ、「本当に」と満面の笑みを浮かべた。モンゴルの両親らはこの日昼に来日したばかりで、部屋では白鵬との対面はなかった。白鵬は父でモンゴル相撲の元横綱、ジジド・ムンフバトさんが日本に到着した直後に電話し「頑張るよ」と約束したという。2月に結婚した紗代子夫人は「プレッシャーの中で自分の意志を曲げることなく頑張っている姿を見られて幸せです」と、部屋のマネジャーを通じてコメントした。千秋楽は夫人と10日に生まれた長女のユンレンツォー愛美羽ちゃん、モンゴルの親族らが観戦する。白鵬は「最後も勝って、みんなで喜びたいね」と全勝優勝を誓った。  



 朝日 5月 14日目
<抜粋> 
白鵬の地元、ウランバートル市では、朝青龍に続く2人目のモンゴル人横綱誕生が確実になったことに大きな喜びの声が上がった。市中心部の居酒屋「ブラウハウス」では臨時に設置されたテレビを約20人の客が見守った。白鵬の優勝が決まった瞬間、両手を上げて喜ぶ人の姿が多かった。同市では後半戦の取組が始まる現地時間午後4時を過ぎると、市役所の職員がテレビ観戦にふけってしまう。各企業も「場所中は仕事にならない」といい、通りを走る車の数も減るなど、世の中の動きが半ば止まってしまうかのようだ。大相撲は地上波全8チャンネルで中継され、スポーツ紙では連日1面を飾るなど、市民の関心は並大抵のものではない。会社員バットゾリグさん(33)は「これからもモンゴルの力強い姿を見せてほしい」と話した。   



 サンスポ 5月 14日目
<抜粋> 
受け止めた。踏ん張った。白鵬は千代大海の“伝家の宝刀”突っ張りを耐え抜いた。もろ差しからつり落としを敢行し、腰を落として寄り切った。優勝だ。連覇だ。勝ち名乗りを受けて土俵から下りると、天を仰いだ。あふれ出そうになる涙を、懸命にこらえているかのようだった。「うれしいです。涙はなかった? 弱いところを見せちゃダメ。涙は隠れてね。あ~、言葉にできない」。前日まで支度部屋では笑顔を封印してきたが、大願を成就し、ついにほおを緩めた。文句なし、だ。横審の海老沢勝二委員長は「品格と力量が抜群。無条件で推薦することになる」と明言した。昭和25年に横審が設置されてから、大関で連覇して横綱昇進を逃した例はない。日本相撲協会の北の湖理事長(元横綱)も「14勝での優勝は相当評価できる。これで(昇進の)話題が出てくる」とした。綱とりは決定的となった。千代大海(左)を力強く攻めて寄り切った白鵬。連覇で綱とりを決定的にした(撮影・千村安雄)平成12年10月25日、15歳で大相撲入りを希望して初来日。大阪の実業団・摂津倉庫でけいこしていたが、1メートル75、68キロの細身で声がかからず、滞在ビザが切れてモンゴルに帰る前日の12月24日に、当時の宮城野親方(現熊ケ谷親方=元幕内竹葉山)から電話があった。奇跡の大逆転で、力士生活が始まった。この日の朝げいこでも当時を振り返った。「夜の10時ごろ電話をもらった。何時間か電話が遅れていたら、モンゴルに帰っていたし、日本に2度と来ることはなかったでしょう」。綱とりを決める朝に、入門時の苦難が頭に浮かんでいた。入門時と同様に、綱とりでも“産みの苦しみ”を味わった。昨年夏場所に優勝し、名古屋と秋場所で綱とりに挑戦したが失敗した。昨年11月には左足親指を骨折して九州場所を全休し、今年初場所ではカド番となった。けいこに身が入らず、熊ケ谷親方がテレビのゲスト解説で「白鵬はけいこ不足」と発言された。痛いところをつかれた思いで、親方とは1週間以上も口をきかなかった。そんな経験も心身の幅を広げることにつながった。今場所は、朝げいこを欠かさなかった。「白鵬はけいこをする横綱と思ってもらうことが大事だ」。熊ケ谷親方のこの言葉を胸に、10日に生まれた長女・ユンレンツォー愛美羽(あみう)ちゃんの夜泣きで寝不足になる中でも、早起きして毎日土俵に降りた。「この1年間、いい経験をして自分でも強くなったと思う」。苦難にもめげず、ついに横綱を勝ち取った。来場所からは、22場所ぶりの2横綱となり、朝青龍とともに東西の横綱を張る。奇跡の入門劇から所要38場所で最高位へ到達した白鵬は、「青白時代」の主役として日本の国技を盛り上げる。(大塚功)
【白鵬に聞く】
 ――優勝ですね
 「嬉しいです」
 ――涙はない
 「弱いところ見せちゃだめ。涙は隠れてです」
 ――きょうの相撲は
「立ち合い当たって(相手の突っ張りに)耐えるように踏み込んでいった。最後は良かったです。つり落としは思いっきりやろうと思った。決まると思ったけど残って一瞬ヒヤッとした」
 ――思い出すことは
 「去年のこと(綱とり失敗)を思い出します」
 ――横綱間違いなしだが
 「あ~、言葉にできない」
 ――原動力は
「まぁいろいろありますがもちろん家族です。3月に優勝して結婚して子供もできた。この1年いろいろ経験して強くなったと思う」

■データBox
●…白鵬は22歳2カ月での横綱昇進で、昭和以降では北の湖、大鵬に次ぎ、貴乃花を1カ月しのぐ3番目の若さ。初土俵から所要38場所は年6場所制で幕下付け出しを除くと3位のスピード
●…朝青龍が平成15年初場所後に昇進して以来、4年ぶりの新横綱誕生。外国出身力士の横綱昇進は武蔵丸(米国)、朝青龍と3人連続となり、曙(米国)と合わせて4人目となる
■横綱になると
★収入 月給が大関時代の234万円から282万円に増える。巡業などの宿泊料、日当は1日9500円から1万1000円にアップ。昇進祝い、名誉賞100万円が協会から贈られ、師匠には要請奨励金が各場所30万円支給される
★付け人 大関時代は5、6人だが、横綱土俵入りの綱締めなどがあるため10人以上に。さらに明け荷も、綱を入れるために1個から3個に増える
★待遇 大関までとは違い、負け越しても、休場しても番付は下がらない。引退後に、しこ名のまま年寄として協会に残ることができる期間が、大関の3年から、横綱になると5年に延長される
★親方らと祝杯
白鵬は、東京・墨田区の宮城野部屋に戻り、親方や後援会関係者と祝杯を挙げた。師匠の宮城野親方(元十両金親)と入門時から指導する熊ケ谷親方(元幕内竹葉山)にはさまれ、上気した顔でコップのビールを一気に飲み干した。しばらくして横綱昇進が確実になったというニュースを聞かされ、「本当に」と満面の笑み。「最後も勝って、みんなで喜びたいね」と全勝優勝を誓った。
◆熊ケ谷親方
「本当によくやった。綱とりの大きな重圧の中で自分の相撲を貫いた。ここで満足せず、全勝で今場所を締めてほしい」
■土俵入りの型は
白鵬の宮城野部屋の中興の祖である吉葉山や、立浪部屋の羽黒山、双羽黒、同門の旭富士らが不知火型(せり上がりの際に両手を広げる型)だったことから、熊ケ谷親方らは不知火型をすすめている。「不知火型の横綱は短命」というジンクスがあり、白鵬本人は難色も示しているが、宮城野部屋の後援会関係者は「ほぼ不知火型で決まり」と話している。
■横綱昇進決定への道
千秋楽に審判部が協議し、昇進問題を諮る理事会の開催と28日に開かれる横綱審議委員会への諮問を北の湖理事長に要請する。この手続きを経て、28日に協会が横審に諮問。連続優勝の場合、委員の過半数以上の賛成があれば推薦される。協会は横審の答申を30日の番付編成会議と理事会に諮り、昇進を決定。同日、東京・墨田区の宮城野部屋で伝達式が行われる。31日に綱打ちと土俵入りの練習、6月1日には明治神宮で奉納土俵入りを行う。 



  5月 14日目
<抜粋> 
夢を現実に
すきのない取り口で千秋楽を待たずに2場所連続優勝を決め、ついに夢を現実にした。「(横綱は)大変だろうね。なってみないと分からない。でも、なればなったでまた強くなれる」。自信に満ちた、いい表情だ。22歳2カ月での昇進は昭和以降で北の湖、大鵬に次いで3番目の若さ。192センチ、155キロの申し分ない体格に天性の柔らかさを見ると、将来の大横綱が期待される。右四つで胸を合わせ、力強く寄る相撲は迫力十分。今場所も「肩の力を抜き、上半身も下半身もしっかりしている」と自ら認める充実ぶりだった。昨年の綱とり失敗後にけがをし、休場も経験。かど番脱出後の二月に紗代子夫人と結婚したことで気持ちも変わった。3年間の交際を実らせ、場所前の今月十日に長女も誕生。帰宅すると風呂に入れ、おむつを替える若い父親は「相撲のことを忘れるんだ。子どもパワーだね。お父さんにいいパワーをくれる」と目を細めた。気分転換しながら、綱とりの重圧とうまく付き合った。父のジジド・ムンフバトさん(65)はモンゴル相撲のかつての大横綱で、故郷の国民的英雄。偉大な父と肩を並べ「親子横綱はモンゴルでもないんだ。すごいことだよね」と胸を張る。性格は優しくて穏やか。「自分は日本に来て、力士として頑張っているのに『外国人』と言われるのは嫌ですね。昔からの相撲の伝統を守らなければと思っている」と熱く語る姿には、既に横綱としての品格が漂う。本名ムンフバト・ダバジャルガル。
  



 スポーツ報知 5月 14日目
<抜粋> 
◆大相撲夏場所14日目 ○白鵬(寄り切り)千代大海●(26日、両国国技館) 第69代横綱・白鵬が誕生だ。大関・白鵬(22)=宮城野=が大関・千代大海(31)=九重=を寄り切りで破り、14連勝で千秋楽を待たずに2場所連続3度目の優勝を決めた。横綱昇進の内規となる2場所連続Vをクリアし、場所後の昇進が決定。朝青龍(26)=高砂=が2003年春場所で昇進して以来、約4年ぶりの新横綱誕生で、最長記録だった朝青龍の一人横綱は、21場所でストップする。天を見上げ、グッと涙をこらえる。白鵬の夢が現実となった。「最高です。弱いところは見せちゃだめ。涙は隠れたところで」。千代大海を寄り切り14連勝。込み上げてくる感情は胸にしまい込んだ。勝ち残りの土俵下で、思い出がよみがえった。00年10月25日。176センチ、68キロのダヴァジャルガル少年は日本の地を踏んだ。大阪でスカウトを待つ日々。だが、ひ弱な少年に声はかからなかった。離日を翌日に控えたクリスマスイブ。一本の電話がかかってきた。元小結・旭鷲山の計らいで宮城野入りが決まったのだ。「夜の9時だった。何時間で運命が変わるんだね」。それから約6年半。少年は必死の努力で、角界の頂点に立った。相撲をやめないでよかった。05年名古屋場所中に左足首を負傷。原因不明の痛みが続き、その後は低迷。「やめたい」涙を浮かべ、関係者に“引退”を訴えた。それでも歯を食いしばった。「お父さんに恥をかかせたくない」モンゴル相撲で6度優勝の父・ムンフバトさんへの思いがあったからだ。昨年春に大関昇進したが、名古屋、秋に綱取り失敗。九州場所では左足親指を骨折し全休した。再びの逆風。しかし、修羅場をくぐった経験がここで生きた。「いい休養になった」と運命を受け入れた。わずか2年で、心は強くたくましくなっていた。2月下旬に紗代子夫人と結婚。10日には長女・愛美羽(あみう)ちゃんが生まれた。「(好調の要因は)結婚したのが一番大きい」。笑顔の裏では心労もあった。日本人との結婚で母国の一部ファンから非難が上がっていた。将来的には日本への帰化も視野に入れている。それでも母国への愛は変わらない。国籍ではなく土俵上での活躍で、日蒙の懸け橋となる思いを証明したかった。千秋楽は横綱・朝青龍と激突する。狙うは初の全勝優勝。「自分の相撲を取るだけ」大きな壁をぶち破り、新しい時代を切り開く。  



 スポニチ 5月 14日目
<抜粋> 
この瞬間を誰よりも待ち焦がれていた。「自分が入幕した場所で大関が昇進。こんなにうれしいことはない」。大相撲夏場所での白鵬優勝。部屋で迎えた兄弟子、龍皇は感無量の表情を浮かべた。入門は2歳年上の龍皇が1年早かった。しかし、入門当時は2人の間に「溝」があった。龍皇はモンゴル出身力士では異例の「突き押し」タイプ。スタイルの違いが原因で稽古場では幾度となく白鵬と衝突した。白鵬が部屋を飛び出したり、取っ組み合いのケンカで師匠が割って入ることも少なくなかった。そして十両昇進を白鵬に先を越されると、当然のごとく「付け人」を任命された。「最初は本当に嫌だった。何でも命令口調で用事を言いつけられて…」。番付がすべての世界で屈辱も味わったが、時間の経過とともに友情も芽生えていった。場所中でも国技館から戻った白鵬が必ず龍皇のもとに駆け寄るほど、お互いが「モンゴル出身で一番仲のいい2人」と認め合っている。龍皇には「白鵬の太刀持ち」という夢があったが、幕内残留を決めたことで、それも現実のものになった。「いろいろあったけど、これからも助け合っていきたい」。白鵬の成功を支えた最大の理解者は永遠のきずなを確認していた。  



 スポニチ 5月 14日目
<抜粋> 
≪妻に長女に両親に 至福の報告≫祝福と歓喜の嵐に包まれる中、白鵬は大きく天井を見上げ、綱の実感をかみしめた。ひと呼吸置いて、ゆっくり目を閉じる。すると苦難の6年半が鮮明に脳裏をかすめた。00年10月25日、関西空港で初めて見た日本の海、エスカレーター、そして昨年の名古屋場所の悔しさ。「去年の苦い経験があるから今がある。言葉にできないですね。3月に優勝して、5月に子供が生まれて…。家族と両親にもいい報告ができます。最高です」。込み上げてくる涙をぐっとこらえると、喜びを爆発させた。13連勝で迎えた千代大海戦。相手の激しい突っ張りにも右足を前に出して応戦した。左を深く差し込み、もろ差しから相手を抱え上げ、つり落としを狙う。残されても再びもろ差しになり、最後は腰を下ろして寄り切った。極度の重圧のなか、破竹の14連勝で昇進内規「2場所連続優勝」をクリア。北の湖理事長(元横綱)も「相当の評価はできるし、これで1つのまとまった考えは出てくるでしょう」と事実上の確定ランプをともした。昨年の名古屋場所で昇進を見送られ、仕切り直しの秋場所も失速し、綱獲りに失敗した。九州場所はケガで全休。育ての親、熊ケ谷親方(元幕内・竹葉山)ともテレビ解説でのコメントが原因で衝突した。しかし、春場所の前に紗代子夫人と結婚したことが大きな転機になった。場所直前の10日に長女「和田・ユンレンツォー・愛美羽(あみう)」も誕生。「できることを頑張って、それがダメなら仕方ない。春場所で優勝したことも大きな自信になった」。家族という大きな味方を得た白鵬は精神的にもひと回り大きくなっていた。実は昨春に柏戸と一時代を築いた大鵬親方(元横綱)から「柏」鵬への改名をアドバイスされた。「オレは柔だけだったが、白鵬は柔と剛を兼ね備えている」と同親方も絶賛したという。モンゴル相撲の大横綱だった父ムンフバトさんと同じ22歳での綱獲り。偉大な遺伝子を受け継ぐ「大器」が新たな時代の到来をアピールした。  



 毎日 5月 14日目
<抜粋> 
◇白鵬、少しひやりも慌てず…千代大海も脱帽
立ち合いに勝負を懸ける千代大海の突っ張りをしのぎ切って、双差しになった。優勝と横綱は目の前だ。寄って出れば勝負あり、だった。なのに白鵬はつり上げて投げようとした。「つり落としに行ったのか」との問いに、「そうです。あれで決めようと思ったが、残されたんでひやりとした」とはっきりと言った。大一番での荒業の失敗。それでも慌てることはなかった。落ち着いてもいた。体が離れても再び二本を差し、さばいて何もさせなかった。「白鵬は緊張していない。自分の綱取りとは違う」と千代大海も脱帽だった。楽勝の展開を少しひやりとさせては苦言もある。北の湖理事長は「危ないよ。前に持っていく余裕を持ってほしい」。だが、戦後3番目の若年横綱となるのが確実となった22歳2カ月の若者はまだ発展途上中だ。立浪一門の先輩横綱となる旭富士の安治川親方は「まだ受け身の相撲なだけに、今以上に強くなる要素はあるよ」と指摘する。勝ち残りでは天井を見上げた。「涙をこらえたのか」と話を向けると、「弱いところを見せてはダメ」と苦笑い。だが、7年前の来日時に部屋からの誘いがなく、相撲をあきらめようとしたことなど「日本に来てからのことを考えていた」。万感の思いがこみ上げた。父ムンフバトさんがモンゴル相撲のチャンピオンになったのが22歳。競技こそ違うが、同じ「横綱」で父と肩を並べた。「春場所ぐらいから22歳の間に昇進することは意識していた。最高です」。白鵬の笑顔がはじけた。【飯山太郎】
◇北の湖理事長の見解
白鵬が14連勝で2場所連続優勝を決めたことで、北の湖理事長は14日目の取組後、白鵬の場所後の横綱昇進について「(審判部から)まとまった考えが出てくるでしょう」と話し、審判部から理事会招集の要請があれば、横綱審議委員会(横審)に諮問を要請する意向を明らかにした。横審が「大関で2場所連続優勝した力士を横綱に推薦することを原則とする」という内規を定めて以降、連覇して推薦されなかった例はない。さらに「14連勝で優勝を決めるのは難しいこと。相当の評価をしていい」と北の湖理事長は述べた。理事会招集を要請する審判部の放駒部長(元大関・魁傑)は、理事長が春場所後に話した「春場所(13勝)以上の成績と内容」という条件を挙げ、「両方ともクリアしたと思う」と話し、理事会招集を要請する意向を示した。28日に横審が昇進を答申、30日の理事会と番付編成会議を経て、正式に「第69代横綱・白鵬」が誕生する。モンゴル出身の横綱は朝青龍に次いで2人目。外国人横綱は曙、武蔵丸、朝青龍に次いで4人目で、武蔵丸から3代続けてとなる。【上鵜瀬浄】  



 デイリースポーツ 5月 14日目
<抜粋> 
大相撲夏場所14日目(26日・両国国技館)、大関白鵬が大関千代大海を寄り切って、2場所連続3度目の優勝を決めた。北の湖理事長(元横綱北の湖)も絶賛する相撲内容で初日から14連勝とし、場所後の横綱昇進を決定づけた。13日目に優勝争いから脱落した横綱朝青龍は、大関琴欧洲に上手投げで敗れて3連敗を喫した。しっかりと綱をつかんだ。千代大海を寄り切った白鵬は、腰に手を当て静かに目を閉じた。2場所連続優勝。だれにも文句をいわせない成績で横綱昇進の内規をクリアした。「うれしいです。弱いところを見せちゃだめですよ。涙は隠れて」。支度部屋に引き揚げた白鵬の両目に涙はなかった。千代大海の突っ張りに追いつめられた土俵際から鋭く反撃した。左を差して右前まわしをつかむと、つり落としを繰り出そうとした。「あれで決めようとしたけど残った。(横綱らしいかは)考えてないよ」とごまかしたが、つり落としは朝青龍の得意技。横綱への意識が見え隠れした。昨年の名古屋場所は千秋楽で朝青龍を破りながら昇進を見送られた。翌日「頑張ろうという気持ちがない。協会は何を考えているのだろう」と打ちひしがれた。秋場所でも綱とりに失敗し、九州場所では左足親指を骨折する試練に見舞われた。重圧にもだえた若武者は、結婚を機に大きく変わった。毎晩家に帰り妻の手料理を食べ、まな娘のおしめを替える。パパでいる時だけは相撲を忘れられた。大一番を前にした朝げいこでは、ファンの中学生をけいこ場に上げ、サインと写真撮影に笑顔で応じるほど平常心を保っていた。場所中のある日、兄弟子の龍皇に雲竜型と不知火型の土俵入りをまねてもらい、自分が綱を張る姿をイメージした。宮城野部屋が属する立浪一門の横綱は伝統的に不知火型を選んできたが、「不知火は短命」という俗説を気にかけていた。龍皇によると周囲の説得で「不知火もいいかな」と心が揺らいでいるという。この日に来日した両親と2人の姉は、千秋楽に国技館へ来場する。紗代子さんも長女を連れて駆け付ける予定で、一家そろって喜びの表彰式を迎える。「この1年間、いろいろ経験して強くなった」としみじみ振り返った白鵬。30日の理事会を経て、いよいよ第69代横綱が誕生する。  



 日刊スポーツ 5月 14日目
<抜粋> 
<大相撲夏場所>◇14日目◇26日◇東京・両国国技館
4年ぶりの新横綱誕生だ! 大関白鵬(22=宮城野)が、2場所連続3度目の優勝を果たし横綱昇進を確実にした。大関千代大海(31)を寄り切りで破り、無傷の14連勝。初めて本割で優勝を決め、史上3位での若年昇進を確定させた。昨年から2度の綱取り失敗、初のかど番も経験したが、家族への思いとともに壁を乗り越えた。30日の名古屋場所番付編成会議と理事会を経て、外国出身力士としては曙、武蔵丸、朝青龍に続く4人目の第69代横綱の誕生となる。勝ち名乗りを受けた後の土俵下。こみ上げるものを必死にこらえるように、白鵬は2階席に視線をさまよわせた。「ふーっ」と肩で息すること7回。今度は、乾いた唇をなめながら目を閉じた。「弱いとこ見せちゃダメですよ。涙は隠れて出すものなんだ」。貫いてきた哲学そのままに、涙は心の中で流した。千代大海の怒とうの突っ張り、のど輪に、正面の俵に左足がかかる。だが盤石の構えで残すと一気に2本を差す。「思い切り投げつけようと思った」(白鵬)つり落としは不発でも、間髪入れず再びもろ差し。これ以上ないぐらい腰を落とし、綱確定の14勝目をもぎとった。圧倒的な今場所の強さ。その要因を「もちろん、家族です!」と迷うことなく答えた。2月に紗代子夫人(23)と結婚。初日3日前には長女愛美羽(あみう)ちゃんが誕生した。綱とり場所のナーバスな時期。部屋での寝泊まりを勧める周囲に、首を横に振った。「奥さんがいたから、ここまでこれた。頑張って赤ちゃん生んでくれたんだからボクが頑張る番なんです」。実は出産後、夫人は体調を崩した。それでも顔色ひとつ変えず土俵を務め続けた。この日の朝げいこ後のこと。来日からの思い出を語る白鵬の姿があった。「あと何時間かというとこで、人生が変わった。運命が変わったね」。忘れもしない15歳の秋。「映画でしか見たことがなかった」という日本に降りた。建前は角界入りだが、単なる観光気分での来日。それが、けいこ場で投げられるうちに反骨心が芽生えてきた。帰国前日のクリスマスイブ。宮城野親方(現熊ケ谷親方)に拾われて入門した。来日から2405日目。モンゴル相撲の元横綱だった父ムンフバトさん(66)と同じ22歳で、追い求めてきた夢を確実にした。「優しいし、人が良すぎる」(熊ケ谷親方)男が、鬼神の形相でつかんだ頂点の座。22歳2カ月での横綱昇進は昭和以降では大鵬、北の湖の大横綱に次ぐ若さだ。大きな可能性を秘めた「第69代横綱」が、力強く誕生した。【近間康隆】  



 デイリースポーツ 5月 14日目
<抜粋> 
大相撲夏場所14日目(26日・両国国技館)、大関白鵬が大関千代大海を寄り切って、2場所連続3度目の優勝を決めた。北の湖理事長(元横綱北の湖)も絶賛する相撲内容で初日から14連勝とし、場所後の横綱昇進を決定づけた。東京・墨田区にある宮城野部屋は白鵬の昇進決定ムードに沸き立った。午後6時半には関係者、ファン約50人が祝福のために集まり、一足早く「祝横綱優勝」と書かれた張り紙を慌ててはがす一幕も。白鵬が部屋に凱旋した際には、宮城野親方(元十両金親)と育ての親の熊ケ谷親方(元幕内竹葉山)が出迎え、周囲から大きな拍手と「おめでとう」の大声援がわき上がった。近所の自宅のテレビで千代大海戦を見守った熊ケ谷親方は「他人に涙を見せたくないのでうちで見た。涙が流れました」と感無量で、同時に名横綱に育てる責任感も痛感している様子。「相撲はよくなったが、品格はまだまだ。敬語もしっかり教えていかないといけない」と、神妙な表情で抱負を口にした。  



 日刊スポーツ 5月 14日目
<抜粋> 
白鵬の父ムンフバトさん(66)が、自慢の息子に新たな課題を与えた。26日に母タミルさんほか、親せきら13人で来日。モンゴル相撲5連覇を含む6度の優勝を誇る大横綱らしく「横綱に昇進するなら、それに満足することなく、大横綱になりなさい。22歳とまだ若いんだから、相撲のすべての記録を塗り替えるくらいの気迫でやらないといけない。まずは今場所、全勝を狙え」。双葉山の69連勝、大鵬の32回優勝を上回る大記録樹立を、新たな目標に掲げた。この日、当初は両国国技館で息子を応援する予定だったが「まだ優勝が決まったわけでもないのに、我々が行ったらプレッシャーになる。土俵に集中させたい」との思いで取りやめ、茨城県内でテレビ観戦した。  



 中日スポーツ 5月 14日目
<抜粋> 
白鵬は千代大海との大関対決を力強い寄り切りで制し、初日から14連勝として2場所連続3度目の優勝を決め、場所後の横綱昇進を決定的にした。千秋楽に初の全勝優勝を懸ける。千代大海は4敗目。 横綱朝青龍は大関琴欧洲に右上手投げで敗れ、3連敗で10勝4敗となった。琴欧洲は9勝目。大関魁皇は関脇琴光喜に寄り切られ5敗目。琴光喜は11勝目を挙げた。関脇安馬と小結琴奨菊はともに勝って7勝7敗とした。前日まで2敗の平幕2人は朝赤龍が勝って12勝としたが、出島は3敗となった。
心地よい強さで張っていた緊張の糸が、少しだけ緩んだ。「うれしい。去年はいろいろあって苦しかったので」。横綱昇進を大きく手繰り寄せた白鵬は、今場所初めて見せる涼しげな目でほっと一息ついた。
写真
優勝と綱とりが懸かる大一番も落ち着いた相撲だった。千代大海の突き押しに土俵際まで押されたが最後まで引かず、低い姿勢からもろ差しに。「腰が下りているから、すっと(両腕が)入った」と北の湖理事長。そこからが横綱相撲。左を深く入れ、前みつを取った右を強烈に引きつけた。土俵中央で「思いっきりやろうと思って」と、つり落とし。残されたが、すぐ再びもろ差しになって一気に寄り切った。この一番にかける熱い思いは最後まで崩れなかった。昨年の名古屋場所、秋場所と2度の綱とりに失敗した。続く九州場所はけがのために全休、そして初のかど番。この1年は22歳の若者には厳しい試練が続いた。それも今となっては「いろんな経験をして勉強して、強くなった」と自信を持って言える。苦しみを乗り越えたからこそ心の落ち着きが備わり、横綱への道も開けた。2月に結婚した紗代子夫人と、夏場所直前に生まれた長女愛美羽(あみう)ちゃんの存在も励みになった。「結婚して、子どもが生まれてこの結果。一番うれしい」と家族への感謝の言葉が口をついた。1年越しでつかむ綱の地位に「言葉にはできない」と感慨深げ。しかし、涙は一切なかった。「弱いところは見せちゃ駄目」。土俵では、強い姿だけを見せ続ければいい。横綱としての決意は、すでに胸の内にある。 (平松功嗣)  



 デイリースポーツ 5月 14日目
<抜粋> 
大相撲夏場所14日目(26日・両国国技館)、北の湖理事長(元横綱北の湖)と放駒審判部長(元大関魁傑)は26日、14連勝で連覇した白鵬の場所後の横綱昇進について明言こそ避けたが、すでにGOサインは秒読み段階だ。理事長は「14連勝は価値観も違う。これで一つのまとまった考えが出てくるんじゃないんですか。もう1日、自分の相撲を取り切るつもりで重みのあるものにしてほしい」と、全勝ゴールに期待を寄せた。また、放駒審判部長は「理事長が示した13勝以上と内容が伴う相撲という条件はクリアした」とし、千秋楽の取組前に審判部で話し合いを持ち、打ち出し後に理事長に理事会の招集を要請することが決定的だ。横綱審議委員会の海老沢勝二委員長は「2場所連続優勝の条件を満たしたんだから諮問があるでしょう。心技体の美をさらに磨いてほしい」と、早くも推薦のお墨付きを与えた。  



 毎日 5月 千秋楽
<抜粋> 
◇白鵬、堂々の勝利…朝青龍を出し投げで破る
優勝と綱取り。場所前にあった重圧を取り払って臨んだ、朝青龍との対決。終盤相撲が崩れた横綱と、一番ごとに自分の相撲を取り戻して白星を並べた白鵬との、力の差が現れた。突き押しの応酬では朝青龍が得意の左を浅く差す場面もあった。しかし白鵬得意の右四つ。朝青龍とはけんか四つだから差し勝った。先場所は本割で負け、優勝決定戦は一瞬の注文相撲で勝ち、物議を醸していた。白鵬は場所前「お客さんをがっかりさせた。いい相撲を取りたい」と話しており、気概が違っていた。自らの右腰を朝青龍にいったん近づけ、思い切り引く。反動を利用して朝青龍の左上手を切り、間髪入れず出し投げ。「横綱に勝ってこそ本物だ」と振り返る白鵬、堂々の勝利だ。土俵上で思わず右でガッツポーズ。「やったという感じと、ほっとした気がした」と笑顔を見せた。表彰式では、もう横綱気分。まだ横綱審議委員会のお墨付きもないうちに、「横綱の名に恥じぬよう、一生懸命頑張ります」と“口上”。さらに土俵入りも「部屋の吉葉山横綱にならって」と、片手を腹の横につけてせり上がる朝青龍の「雲竜型」と違い、両手を広げる「不知火型」と、発表するフライング。吉葉山没後30年。横綱昇進の手続きを教える師匠もいない部屋では、致し方ないことか。貴乃花以来で、吉葉山も成し遂げた文句のつけようのない完全優勝での昇進だから、ほほ笑ましくもある。成長途上の22歳。朝青龍もまだ26歳で、このままでは終わらない。果たしてどんな新時代を築くのか。【上鵜瀬浄】
【花道】
○…朝青龍が終盤4連敗の10勝止まりで、場所を終えた。白鵬を祝う支援者でごった返す東支度部屋で、脇で目立たぬようにまげを結う朝青龍。白鵬戦の敗戦について「壁になると約束したのに(ファンに)申し訳ない」と謝り、「相撲がバラバラ。ただの人間になっちゃった」と話した。横綱で皆勤した24場所中、出場した大関に全敗したのは9勝だった04年秋場所以来3度目。左ひじや右肩に故障があると言う。朝青龍は「体を完全に治して、気持ちを立て直さないといけない」と再起を誓った。
  



 サンスポ 5月 千秋楽
<抜粋> 
白鵬、文句なしの相撲内容 朝青龍にけいこ不足のつけ
突き、押しで機先を制し、得意の右四つで勝負をつけるパターンで白星を重ねた。3連敗と苦手にしていた稀勢の里戦(8日目)の足の運び、琴光喜戦(13日目)での力強い寄りは絶品。横綱としての資質は十分に備えている。今後は慢心せず、現在のように地道にけいこを積み重ねていけば、“白鵬時代”の到来も近いかもしれない。対照的に朝青龍の大失速は意外だった。終盤戦の4連敗は気持ちが切れたような印象で、横綱審議委員会の海老沢勝二委員長も「ぶざまな相撲じゃ困る」と苦言を呈したほど。やはりここ数年のけいこ不足のつけが一気に出た格好だ。魁皇、千代大海の両大関は朝青龍を倒し、存在感は示した。千代大海は来場所で大関在位が単独史上1位の51場所目。横綱を一方的に押し出した一番は出色だった。白鵬に先を越された琴欧洲は相変わらず期待外れ。目先の白星にこだわる立ち合いの変化は見苦しい。12勝の琴光喜は来場所が大関とり。実力は十分なだけに、機は熟してきた。朝青龍を破った安美錦、ともに12勝の朝赤龍と出島の相撲は光ったが、残念なのは若い日本人力士の不振だ。東前頭筆頭の豊真将は5勝止まりで、稀勢の里はまさかの3場所連続負け越し。入幕2場所目の栃煌山も上位の壁に跳ね返された。  



 スポーツ報知 5月 千秋楽
<抜粋> 
◆大相撲夏場所千秋楽 ○白鵬(上手出し投げ)朝青龍●(27日・両国国技館) 東大関・白鵬(22)=宮城野部屋=が横綱・朝青龍を上手出し投げで破り、2場所連続3度目の優勝を初の全勝で飾り横綱昇進に華を添えた。白鵬は北の湖、大鵬に次ぎ、史上3位となる22歳2か月での昇進。これで来場所は史上初めて東西にモンゴル出身の横綱が並ぶことになった。朝青龍は4連敗で10勝5敗。関脇・琴光喜は大関・千代大海を送り出して12勝3敗とし、来場所に大関昇進をかける。千代大海は10勝5敗。大関同士の対決は魁皇が琴欧洲を取ったりで下して10勝目、琴欧洲は9勝6敗。新関脇安馬は勝ち越したが、小結琴奨菊は負け越した。三賞は安美錦が初の殊勲賞。出島が4度目の敢闘賞、朝赤龍が2度目の技能賞を受賞した。13日目に2度目の十両優勝を決めた把瑠都は14勝1敗。白鵬が新横綱で登場する名古屋場所は7月8日から愛知県体育館で行われる。白鵬「うれしい。やったなという感じ。きょうは自分の力を試すような一番だった。思い切り、何でもやるという気持ちだった。今後は強い横綱を目指したい。土俵入りは不知火型です」北の湖理事長(元横綱北の湖)「相撲内容が安定し、自分の相撲を取り切ったことが全勝につながった。こうなったらという形を作れば、もっともっと優勝回数も増えるだろう」  
















© Rakuten Group, Inc.